米運輸省国家道路交通安全局(NHTSA)は、メーカー別平均燃費(CAFE)基準違反の制裁金額を1997年レベルに据え置く最終規則を2019年7月26日付の官報で公布した。CAFE基準違反には、そのメーカーが生産した自動車1台ごとに、燃料1ガロンの平均燃費の基準未達成0.1マイルにつき一定の制裁金が科せられることになっている。今回の最終規則により、未達成0.1マイルあたりの制裁金額は5.50ドル(約590円)に据え置かれることになる。この最終規則は2019年9月24日に発効する予定である。
経緯:
オバマ政権時代の2016年、NHTSAはCAFE基準未達成0.1マイルあたりの制裁金額を2019年式の乗用車とトラックの新車から14ドル(約1500円)に引き上げることを決定した。それまでの制裁金額は1997年以来ずっと5.50ドル、さらにそれ以前は、1970年代にCAFE制度の導入時に設定された5ドル(約530円)だった。
こうしたことから、制裁金額を物価上昇に合わせて引き上げるべきだという声がかねてからあり、オバマ政権による2016年の14ドルへの大幅引き上げはそうした声に応えたものともいえる。
だが、政権交代後の2017年夏、トランプ政権はこの制裁金引き上げを凍結する決定をくだした。これに対して環境団体らがこの凍結の決定を無効とする訴訟を起こし、2018年、連邦裁判所は14ドルの制裁金の施行を遅らせることは認められないとの判断をくだした。これをうけてトランプ政権は、オバマ政権による制裁金引き上げの決定そのものを無効にする道を選び、それが今回の制裁金据え置きの最終規則となった。
24州が据置きに反対:
上記のようなトランプ政権の動きに対し、24州の知事が、制裁金据え置きに反対するとともに、オバマ政権時代のより厳しい燃費・温室効果ガス(GHG)排出基準を適用するカリフォルニア州の権利を擁護する書簡に署名した。これら州のすべてがより厳しい基準を実際に適用することになれば、市場に混乱を招くことは必至である。
なお、CAFE基準違反の制裁金額を1997年レベルに据え置く最終規則は、以下のURLで読むことができる。
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2019-07-26/pdf/2019-15259.pdf