米環境保護庁(EPA)監察局は2019年7月31日、排ガス試験への寄贈グライダー・トラックの使用は大気浄化法の観点からも、また倫理的にも問題ないとする報告書を公表した。この報告書は議会の要請に応えて作成されたものである。ここでいうグライダー・トラックとは、中古のパワートレイン(エンジンおよびトランスミッションに通常は後車軸を加えたもの)と新品のボディー・パーツを組み合わせてつくったトラックを指す。
EPAの大気・放射線局(OAR)はミシガン州アナーバーにある排ガス試験施設で、地元のVolvoディーラーから2台のグライダー・トラックの寄贈をうけて試験に使用することを決定していたが、今回の監察局の報告書で、この決定が妥当なものであることが明確になった。
権限の明確化などを勧告:
上記のように、EPA監察局の報告書は、排ガス試験への寄贈グライダー・トラックの使用を妥当と結論づけたものの、一方で、車両の寄贈を無制限にうける権限がEPAにはないとし、その権限を明確化するとともに寄贈車両受け入れ手続きの具体的ガイダンス等を作成して透明性を増すよう勧告している。
EPAの排出基準緩和への影響についても調査:
上記報告書とは別に、EPA監察局は、グライダー・トラックのメーカーらがそうしたグライダー車両の新たな排出基準を撤回するEPAの決定に影響をあたえたのではないかという件について、調査を進めている。
この調査の過程でEPA監察局は、トランプ政権が調査に非協力的であるとして、政権を非難する書簡をCharles J. Sheehan局長代理名で2019年4月25日に大統領府の行政管理予算局(OMB)に送っている。
その後、この調査がどうなったかについては、EPAはまだ何も明らかにしていない。
なお、排ガス試験への寄贈グライダー・トラックの使用に関するEPA監察局の報告書は、以下のURLで読むことができる。
https://www.epa.gov/sites/production/files/2019-07/documents/_epaoig_20190731-19-p-0252.pdf