米EPAと運輸省、CARBの自動車メーカー4社との合意について連邦法違反を通告

米カリフォルニア州大気資源員会(CARB)が厳格な燃費・温室効果ガス(GHG)排出基準の維持で自動車メーカー4社――Ford、Volkswagen、Honda、およびBMW――と合意に達し、いわゆる「枠組協定」を結んだ件で、環境保護庁(EPA)と運輸省(DOT)は2019年9月6日、それぞれの法務局長名でCARBに書簡を送り、この枠組協定は連邦法に違反していると通告した。

 

EPAと運輸省の主張の論拠:

書簡のなかでEPAと運輸省は、この違反通告の論拠として以下のことを挙げている。

 

  • 自動車の燃費基準やGHG排出基準を定める権限は、連邦議会により、カリフォルニアなどの州にではなく、連邦政府にあたえられている。
  • 大気浄化法(CAA)のsection 209は、州が独自の排出基準を定めたりそれを施行しようとしたりすることを禁じている。
  • エネルギー政策・省エネ法(EPCA)は、州が自動車の燃費基準を設定したり燃費に関係する何らかの行動を起こしたりしたとしても、それは無効となり連邦の規制が優先されると規定している。GHG排出量と燃費とのあいだには科学的関連性があることから、カリフォルニア州が今回の枠組協定に沿ってGHG排出基準や関連事項を定めたり適用したりしようとすれば、それは明らかにEPCAのプリエンプション(州の法規に対する連邦法規の優先)条項の適用対象となる。
  • EPCAとACCのもとでは、新車の燃費と全国的なGHG排出基準を定める権限をもっているのはDOTとEPAであり、枠組協定に盛り込まれた基準等は連邦法にもとづくものではない。

 

カリフォルニア州へのウェイバーを廃止か?:

複数の消息筋によると、EPAはGHG排出規制等についてカリフォルニア州に現在あたえられているウェイバー(プリエンプションの適用除外)を廃止して、これらに関連する同州の規制をすべて強制的に連邦規制に合わせさせることを検討しているという。

 

なお、この件についてのEPAの報道発表は以下のURLで読むことができる。

https://www.epa.gov/newsreleases/epa-and-dot-put-california-notice

また、EPAと運輸省の法務局長がCARBに送った書簡は以下のURLで読むことができる。

https://www.epa.gov/sites/production/files/2019-09/documents/epa.dot_puts_california_on_notice.pdf